畳及び畳表に関するQ&A

 畳・畳表についての消費者の皆さんの疑問に思うことについて答えています。
いま畳の上で生活している人はもちろんのこと、これから畳の上での生活を始めようとしている人も、ここで代表的と思われる項目を取り上げていますので、参考にしていただいて正しい取り扱いと健康な畳の上での生活をお楽しみください。

Q1: 新しい畳には泥埃が付いているのはどうしてですか?
Q2: 最初は青い畳もだんだんと焼けてきますが、何故ですか?
Q3: 畳表には、最初からさまざまな色合い(白味の強い物・青味の強い物)がありますが品質に関係しているのですか?
Q4: 新しい畳の手入れはどの様にしたら良いのですか?
Q5: 畳の手入れでしてはいけないことはなんですか?
Q6: 畳の上に何故カーペット・絨毯等の敷物を重ね敷きをしたらいけないのですか?
Q7: 畳表に付いていることのある折り目はキズではないのですか?
Q8: 畳は健康によい敷物だそうですが、何故ですか?
Q9: 畳に発生するカビ・ダニにどの様に対処したらよいのですか?
Q10: 畳表の端に白い筋が浮いている物がありますが、品質に関係あるのですか?
Q11: 新しい畳表の藺草がごく一部分飴色にく変色しているところがありますが、何故ですか?
Q12: 最近では、畳表にも抗菌処理をした物もあるようですが、どの様な物ですか?
Q13: 有機栽培畳表と表示されている畳表がありますが、畳表において有機栽培の意味はどの様なことなのですか?
Q14: 最近、藺草のすがすがしい香りと違う鼻を刺激する異臭が新しい畳表からする事がありますが何故ですか?
Q15: 天然の藺草を使用しているだけに畳は燃えやすい敷物ではないのですか?
Q16: 最近では、外国産の畳表が輸入されているそうですが、どの様な物なのですか?
Q17: 藺草を使用していない畳表があるそうですがいったいどの様な物なのですか?
Q18: バリアフリー住宅などに使われている薄い畳は、どの様な物なのですか?

 

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Q1:新しい畳には泥埃が付いているのはどうしてですか。

A:藺草を刈り取り乾燥する前に染め土を溶いた液で泥染めします。
その時に藺草の表皮に付着した染め土が質問の泥埃のことです。

泥染めする事によって、藺草を早く均質に乾燥することが出来るだけでなく藺草の色素(葉緑素)・粘り・弾力性・艶が保たれ畳表として使用できる藺草になります。

染土を付けずに乾燥した藺草で製織した畳表も最近では作られていますが、染め土を付けて乾燥した藺草に比べて格段に粘り・弾力性・艶に欠けるので畳表の耐久性は勿論のこと、使用しているときの色・艶に差が付きます。

このように、畳表の表面に付いている泥埃は大事な働きをしています。

 新しい畳表を使用するときには、最初数回乾拭きをして表面の泥埃を拭き取って使用してください。

 

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Q2:最初は青い畳もだんだんと焼けてきますが、何故ですか。

A:畳表は天然の植物(藺草)で織られているものですので、使用している内にだんだんと退色(緑色が無くなる)していき飴色になってきます。

刈り取った後の植物の葉緑素の緑色は、日光に当たったり空気に触れるとみるみる退色してしまいますが、別項で述べているように藺草の緑色は泥染めの効果によって長持ちします。

だがそれでも、緑色の色素は日光や空気に弱いのでだんだんと焼けて退色して行かざるを得ません。退色と畳表の品質にはほとんど関連がありません。

 

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Q3:畳表には、最初からさまざまな色合い(白味の強い物・青味の強い物)がありますが品質に関係しているのですか。

A:藺草を収穫するとき、乾燥する前に刈り取った生の藺草を染め土を溶いた液で染めます。

その染め土の種類(染め土を産出する土地によって成分に違いがあります)によって乾燥後の藺草の色合いが決まります。
また藺草を栽培した水田が違えば、同じ染め土を用いて泥染めしたとしても水田の土質のわずかな違いによりその色合いは微妙に違ってきます。
したがって畳表がさまざまな色合いに出来上がりますが、色合いの差によって畳表の品質に差があるといったわけではありません。  

 備後地方特産藺草は、昔から当地で産出される染土を用いて染め上げるので銀白色をおびた青色(青銀色)に仕上がり、その藺草を使用した備後畳表はしっとりと落ち着いた色合いに織りあがります。いつまでも色合いがさめにくく自然な色・艶を保ちます。

 

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Q4:新しい畳の手入れはどの様にしたら良いのですか。

A:新しい畳表を使用するときには、最初数回乾拭きをして表面の泥埃を拭き取って使用してください。5〜7日間くらい埃っぽく感じるかもしれませんが、水や洗剤を使用せず乾拭きすることで長く良い状態で畳を使用出来ます。

 新しい畳表は、水や洗剤をつかっての拭き取りをしないでください。表面に付いている染土が剥げ落ち急激な変色及び耐久性の劣化を招く原因となります。

 新しい畳表の青味(緑色)は藺草に残っている葉緑素の色ですので、畳表の上での化学物質(化学雑巾・室内用洗剤・床用ワックス・化粧スプレー類の頻繁な使用・入浴剤で濡れたまま歩く等)の使用は、
葉緑素との化学反応による部分的な斑変色及び脱色、また藺草の変質による劣化の原因になりますので決して行わないでください。

新しい畳表には直射日光を出来るだけ当てないようにしてください。畳表の青味が早くあせたり、乾燥しすぎることによって脆くなり耐久性の劣化を早めて痛みやすくなります。

日差しのきつい日中では、薄いカーテンなどで直射日光を遮るようにしてください。

 

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Q5:畳の手入れでしてはいけないことはなんですか。

A:前の答えのなかに記していますが、濡れた雑巾で拭いたり、室内用の洗剤を使用して拭き取ったりは絶対にしないでください。

畳表の品質を保持している染土が剥げ落ちて畳表自体が変質してしまい急激に黒っぽく変色したり、耐久性も無くなり早く痛みやすくなります。

また、同様に畳表の上での化学物質の使用は決してしないでください。

 

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Q6:畳の上に何故カーペット・絨毯等の敷物を重ね敷きをしたらいけないのですか。

A:畳の上をカーペット・絨毯等の敷物で覆うと塵・埃・人間の垢・食物の滓などが溜まり、それを餌にするダニ・カビの発生の原因になります(重ね敷きをしていないときより7倍も発生する)。

また、一度畳に吸収された湿り気の発散が妨害され部屋自体が湿り気を帯び、畳や建物を傷めるだけでなくそこで生活する人にとって極めて不健康な状態になります。

 

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Q7:畳表に付いていることのある折り目はキズではないのですか。

A:新しい畳表には、時に折り目の跡が目に付くことがあります。藺草を多量に打ち込んだ地厚な良質品ほど折り目の跡が残りがちです。この折り目は使用している内に自然に消えていく物でキズとか不良品ということではありませんので安心してご使用ください。

 

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Q8:畳は健康によい敷物だそうですが、何故ですか。

A:畳表(藺草)を生活のなかに取り入れることは、皆さんの生活を豊かにするだけでなく健康な生活を約束してくれると思います。畳表(藺草)には、空気中の二酸化窒素を吸収して室内の空気を浄化する作用があります(東京大学工学部西村研究室)。

畳表(藺草)の爽やかな香りはアロマセラピー効果があり精神を安定させると言われています。また、嫌われ者だった畳表(藺草)に付いている染め土は遠赤外線を発散し、生活する人の健康を増進する効果があると言われています。

昔から言われていますが、梅雨から夏にかけての高温多湿な時期に畳は目に見えないところで部屋の湿気を吸収し、秋から冬にかけての乾燥する時期には畳から湿気を放散して湿度を調節するだけでなく、同時に室内の温度を調節しています。これは藺草といった天然素材を使った畳特有の機能で、この素晴らしい自然の働きが四季を通じて健康を支えてくれています。

以上のような素晴らしい畳表(藺草)の効用を充分に享受するためにも畳表(藺草)の特性をよく知った上で畳を十分に管理していただき、いつまでも健康的な畳の上での生活をお楽しみください。

 

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Q9:畳に発生するカビ・ダニにどの様に対処したらよいのですか。

A:梅雨時から気温の上がる夏にかけて、畳の表面にカビが生えてくることがあります。

畳表が湿気を過剰に含んでカビが生育するのに十分な気温になると、空気中に浮遊しているカビの胞子が、付着して発育を始めるためです。

また、その様な状況になるとカビを食べるダニや、そのダニを食べるダニも発生しやすくなります。畳に発生するダニについては、
みやぎの本畳床協同組合のホームページに詳しく記載されていますのでそちらを参照してください。

したがってここでは畳に生えるカビについてどの様に対処したらよいのか、どんな意味があるのかについて記しています。

 畳の表面を覆っている畳表は、原料を藺草という草をもちいて織りあげたものです。

有機質の草を使用していますから条件が整えば、どうしてもカビが生えます。

それは、生鮮食料品を空気中に放置したままにしておくと、すぐにカビが生えてくることとなんら原理的に変わりありません。

畳表は水分を吸収しやすいので、室内が湿気過多になり極めて不健康な状態になるとカビがどうしても生えてきます。

 したがって、カビの生えるのを防止するために次のことに気を付けてください。

@室内の換気に気を付けて、湿気が室内にこもらないようにする。

A梅雨から夏にかけて、畳の表面がべと付く時には乾拭きして表面の湿気を拭き取り、天気の良い日は窓を開けて風を取り入れてください。出来ればクーラーの除湿機能を働かしたり除湿器を動かして室内の過剰な湿気を取り除くようにしてください。

 また、どうしてもカビが生えてしまったときには、乾拭きをしてカビを拭き取った後、室内の過剰な湿気を取り除くためクーラーの除湿・除湿器を動かしてください。

 機密性の増した現在の住宅では、いちど入り込んだ湿気が室内にとどまりやすくなっており、思わぬ時・所にカビが生えやすくなっています。

健康な生活をするための拠点である部屋自体を、健康な部屋として十分に管理すれば、そこにはカビと無縁な生活がまっています。

 なお、最近では、防カビ剤を用いてカビの発生を抑えた畳も出来ています。

いろんな種類の薬剤が使われていますが、防(殺)カビ剤であるかぎり細菌を殺す効果があるものなので、決して人体に悪影響を与えないとはいえません。

また、防カビ剤によってカビが生えていないから、その畳が健康的な状態であるかどうかわかりません。

なぜなら、部屋自体が過剰な湿気に浸されていても、防カビ剤の効果でカビが生えてきませんが、そこには湿気に溢れた極めて不健康な状態が存在しています。

そんな部屋が健康的な部屋と言えるでしょうか。ただ、どうしても緊急にカビを除去しなければならない時には、多少のリスクはありますが、防カビ剤に頼らなければならないかもしれません。

 畳はカビが生えやすいから嫌だ、木質系のフロアーの方が良いと思う人がいますが、

けっして畳の部屋が劣った物ではありません。カビの問題一つをとっても、同じ条件にある畳の部屋にカビが生え、フロアーにカビが生えなくてもその部屋を取り巻いてる湿気等の状況は何一つ変わっていないのだから、
カビが目に付かずに気づかないからといって、そのフロアーの部屋が過剰な湿気に包まれていることに変わりありません。

 きわめて、過激な意見かもしれませんが、畳は室内が過剰な湿気に見舞われたときにカビを発生させることによって、そこに住む人に警告を発してくれているのだと言えないでしょうか。

建物・部屋の健康度のバロメーターを畳が果たしてくれている
のかもしれません。

畳はカビが生えやすい物だけに、畳にカビを生やさないように部屋を良く管理することによってこそ、健康的な住宅・部屋を手に入れることが出来ます。

別項で記していますが、健康に役立つ畳の部屋を一段と健康的に使っていただきたいものです。

 なお、インシュレーションボードなどの建材畳床を使っている畳には、床と畳表の間に湿気が滞留しやすいので、藁床を使っている畳に比べてカビが発生しやすくなります。

 

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Q10:畳表の端に白い筋が浮いている物がありますが、品質に関係あるのですか。

A:畳の縁際の畳表の端に白い筋が目立つこと(業界用語で根上りという)がありますが、その白い筋は藺草の根元の白いところの長い物が入っているからなのです。

畳表を製織する時には、見栄えが悪いので出来るだけ目立たないように藺草を良く選っていますが、自然のなかでさまざまに育った藺草を原料に使っているだけに完璧に選り出すことは不可能に近いものです。

 根元の白い部分の長い藺草は、若くて多少未成熟な物に多いのですが決して畳表の品質を大幅に悪くする物ではありません。

たしかに新しい畳表では浮き上がって見えて、見栄えの悪い物なのですが、藺草の先の傷んだ(黒っぽくなっていたり枯れている)所が使用する部分に織り込まれた畳表(根上りほど最初は気になりにくい)のように使用している内に汚く変色したり・黒い筋になって浮き上がったりする事はありません。

使用している内に、その藺草の根元の白い部分は徐々に飴色に焼けていく畳表に同化していくので気にならなくなるはずです。

 最初の見栄えに気に取られることなく、畳表を選ぶとき数年間使用する間きれいに飴色に焼けて汚れの浮き出てこない物を選んでいただきたいものです。

根上り
根上り

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Q11:新しい畳表の藺草がごく一部分飴色にく変色しているところがありますが、何故ですか。

A:畳表に織り込まれている藺草の中程に1〜2a長いもので4〜5aほど最初から飴色に変色している部分(備後産地ではテレという)の有る物が織り込まれていることがあります。

そのテレは藺草が成長する過程でさまざまな原因で発生するのですがこれといった確定できる物はなく、色々な要因が絡み合ってでてくるようです。

そのうち代表的なものは次のような要因といわれています。

 @藺草が有る程度十分に成長したあとに、表皮が堅くなりすぎた所に太陽の陽が差し込み焼けてテレができる。

 A藺草どうしが風などに揺すられ擦れ合って、その部分がテレになる。

 B肥料を散布するときに、肥料が水田の土の上に落ちずに藺草の茎に付き、そのために

  肥料の付いた部分がテレになる。

などです。

 たしかにテレのある藺草は品質的に少し落ちるので、畳表に製織するときにはテレのある藺草を外して織り上げるようにしておりますが、多いと選りだしきれずに畳表に残ってしまいます。

畳表に織り込まれると目障りで気になる物ですが、使用していくうちにほとんど気にならないほど消えていき畳表全体が飴色に変わってきますので、新しい畳表で感じるほどには気になさらなくても良いと思います。

 また、十分に成長して良く充実した良質な藺草には、少しテレがでることが多いので、少しのテレはなんら気にする物では有りません。

 ただ、テレとよく似ていますが全く違う原因で黒っぽい茶色になってしまっている部分(根元から茎の途中まで)を含んでいる藺草が織り込まれている物がありますが、
それは刈り取った藺草を泥染めするときに染め土が十分に藺草に乗らずに染め土が全く付いていないことによって出来た物で、ハシリと備後では名付けられているものです。

ハシリは染め土が付いてなく藺草の乾燥が不十分になった所なので、後々に弊害(使用している間にハシリの部分が赤黒く変色してくる)がでてくることが多いので気をつけたいものです。

 それほど気にすることのないテレと注意しなければならないハシリの違いについては、近所の専門家である畳屋さんによく相談してください。

テレ ハシリ
テレ ハシリ

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Q12:最近では、畳表にも抗菌処理をした物もあるようですが、どの様な物ですか。

A:畳表の抗菌処理には、食品用の防カビ剤とかヒバ・檜などの木材の抗菌エキスを主剤にした薬剤を使用して、畳表の表面に吹き付け散布したものが多いようです。

食品衛生規準に合った物とか天然系の薬剤なのですぐに人体に影響する物ではないと思われますが、化学物質に過敏な人には何らかの影響が懸念されます。

 ただ、次の点を留意していただきたいものです。

『消費者の清潔志向に対応して急増しているのが抗菌・除菌商品だ。雑菌(常在菌と呼ぶべきだろう)を取り除くことで、健康を維持しようとするものだが、その実体は、現代人の超潔癖症におもねる商品であって、なかには本当の意味で健康商品であるかどうかすら疑問のものもある。

そもそも人間の体内には、一・五キロもの常在菌がいるとされ、それら細菌類との共生を図るのが、実は健康の「こつ」でもある。

時に忌み嫌われる大腸菌も、人体に有用なものだ。ところが、現代人の超潔癖症にかかると、それらの菌は雑菌と呼ばれ絶滅の対象になる。O157が猛威をふるったことは記憶に新しい。

本来は他の雑菌類と競争状態になると生存率が下がる弱い菌だ。しかし、発生源となった給食センターはある程度清潔にしなければならないために、常在菌を殺し、結果的に弱い菌に活躍の場を与えることになっている。』
(1998年5月23日号 週刊ダイヤモンド

大ヒット「環境商品」は本当に地球に優しいか 東京大学国際・産学共同研究センター長・教授 安井 至)

 新建材の普及にともなって起きて来ている化学物質過敏症いわゆるシックハウス症候群(1998年11月6日号 週刊ポスト あなたの住まいに潜む「環境ホルモン汚染グッズ」 久野勇と週刊ポスト特別取材班 を参照せよ)
に対して、身近の化学物質を遠ざけるだけではなく、常在菌と上手くつきあうことによって人体の本来持っている復元力・抵抗力・免疫力などを増強すべきであるとの指摘が、現在されるようになっています。

コマーシャルリズムにのってただやみくもに恐怖心をあおって清潔志向を助長するだけの商品であるかどうかを、厳密に判断することが必要でしょう。

 しかし、生活する人の事情等によっては抗菌処理をした畳表を使用することも悪いこととはいえないので、よく検討して自分の健康に最も有益な製品をご利用ください。

 

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Q13:有機栽培畳表と表示されている畳表がありますが、畳表において有機栽培の意味はどの様なことなのですか。

A:言葉どうりに解釈すれば、有機肥料で栽培された藺草を使用して織られた畳表を有機栽培畳表というのですが、現在まだ、藺草の有機栽培について明確な規準となる物がありません。

なかには、他産地においては売らんが為に有機栽培と称しているとしか思えない品質の畳表まで見受けられるようです。

 確かに、有機質をふんだんに吸収し育った藺草は、茎も細く丸みをおび、弾力性に富み、粘りがあり、耐久性があり、優れた光沢をみせ艶があります。

ここで大事なのは、有機肥料は作物が吸収するのに大変難しい肥料であるので、ただ単に有機肥料を水田に投与すればそのまま藺草が吸収してくれる物でないということです。

有機質を藺草に吸収しやすい形に分解してくれる土壌のなかの微生物やその微生物が分泌する酵素の働きを借りなければなりません。

土壌微生物と有機肥料そして健康な藺草に育てる栽培技術が伴って有機栽培の価値が出てきます。藺草にとって一番大事なことは、成長段階に応じて必要な養分を有機質を中心にして補給してやることですが、

有機肥料に頼りすぎると片寄ってしまいがちになる栄養分をバランス良く化学肥料で補うことは、決して悪いことではありません。ただ単に、言葉の上で有機栽培と言うことを弄ぶのではなく、良質な藺草をどの様に栽培して、高品位の畳表を消費者に届けるかが要求されているはずです。

したがって、有機栽培と称する限りは、有機栽培と名乗るだけの品質を保持し、有機質肥料の養分を十分に享受した藺草を使った畳表について相応の価値を評価する事を惜しむものではありませんが、単に有機肥料を水田に投与したことをもって、

有機栽培を名乗るだけの品質をもたない藺草で製織された畳表では、消費者の期待を欺くことになるでしょう。(参考文献 農文協刊 
土壌微生物の基礎知識 西尾道徳著など)

 畳表について、なかなか正しい知識を手に入れることの難しい消費者にとって、有機栽培と表示している畳表を見て、表示されているだけの品質を見極めるのはなかなか難しいことですが、
光沢に富み・弾力性が有り・粘りに富んで・手でつかんだときに柔らかく押し返してくる藺草を使っている畳表を選んで、畳に使用してください。

 備後特産藺草は、いちいち表示するまでもなく、昔から有機肥料をふんだんに施肥した水田で栽培されています。それは、現在なお続いている名声と評価に証明されています。

 

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Q14:最近、藺草のすがすがしい香りと違う鼻を刺激する異臭が新しい畳表からする事がありますが何故ですか。

A:消費地においてはあまり知られてはいませんが、残念ながら現在、他産地においては硫黄薫蒸した畳表が高級品として消費地に出荷されています。

硫黄を燃やしたときにでる漂白作用のある二酸化硫黄という有毒物質で薫蒸した藺草(そうすると黒みが消えすっきりした色調の藺草になる)を使用して製織した物です。

『二酸化硫黄は、刺激臭のある有毒な無色の気体で、水に溶け、その水溶液は酸性を示す。二酸化硫黄は、劇薬の硫酸製造の原料として多量に用いられる。また、漂白剤・殺虫剤・医薬などの原料にも用いられる。』(高校化学教科書)

といった性質を持つ二酸化硫黄の藺草・畳表への残留量とかその影響が無くなるまでの期間(保管方法によって異なる)など人体に対する悪影響の懸念のある畳表の製造は極めて危険なことではないだろうかと危惧しているところです。

しかもそれが、高級な畳表として流通している現状に危機感を持たざるを得ない思いです。

 また、粗悪な畳表の表面を着色加工(樹脂加工)して、見栄えを良くした畳表も自然で爽やかな畳表の香りとほど遠い着色料の臭いがします。

どちらにしても、藺草本来の収穫されたままの自然の生きづいている畳表とは、全く違う物です。

 目先の見栄えに捕らわれると、本来の自分の思いと懸け離れた畳を手に入れることになってしまいますので、近所の畳屋さんとよく相談して、できるだけ自然に近い藺草で製織された畳表の使用をお勧めします。

 

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Q15:天然の藺草を使用しているだけに畳は燃えやすい敷物ではないのですか。

A:藁を材料に作られた畳床を使用した畳は、畳縁など一部を除いてほとんどが乾燥させた植物から出来ています。

だから燃えやすいのではないかと思いがちですが、畳は燃えにくい素材としてその難燃性は消防庁にも認められています。乾燥した植物とはいえ、畳は適度な水分を含んでおり、圧縮して作られているので燃えにくく火がついてもよほどの火勢でなければくすぶる程度です。

そのうえ天然素材を使って作られた物なので、もしも燃えだしたとしても有毒なガスが発生する事もありません。

 なお、畳の床に、軽い、平らでムラがない、湿気を含みにくいとして最近よく使われている木質繊維が原料のインシュレーションボードや化学製品のポリスチレンフォームを使った畳床の場合は違います。

 

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Q16:最近では、外国産の畳表が輸入されているそうですが、どの様な物なのですか。

A:近年、外国産畳表が多量に輸入されるようになっています。

特に中国から輸入されている物は量的に国内消費量のかなりの数量に及んでいます。

消費者の皆さんの目から見ると一見国内産の畳表と変わらないように見えますが、土壌の差も勿論のこと藺草の収穫後の取り扱いの差によって品質・耐久性に格段の差異が生まれています。

とりわけ泥染め後の乾燥の違いは決定的とも言える物です。通常国内においては65度前後の温度で12〜15時間かけて火力乾燥(60度前後で15時間以上かけて乾燥している生産者もいる)していますが、
中国においては100度に近い高温で短時間(6〜9時間)で乾燥を上げているので、繊維の組成を壊し藺草の持っている粘り・弾力性を乾燥段階で無くしてしまっています。

また畳表の製織後の乾燥も高温で行っているので、そこでも藺草の繊維質を痛めて脆く表皮のはがれやすい耐久性のない畳表になってしまっています。

 そのうえ、藺草の先が枯れたり、茎にテレ・焼けが出るのを恐れるあまり十分に藺草が充実する前の若い内に刈り取るため(藺草を刈り取る時期が日本に比べてかなり早い)に、表皮が薄いだけでなくもともと脆い藺草でもあります。

 また、中国ではさまざまな水田で栽培された藺草を混ぜて乾燥したり、畳表の製織をするので藺草の泥染めの時に顔料を加えて色合いの統一を計っていますので自然の風合いに欠ける物になっています。

その上、製織後の畳表自体を着色加工して色合いの統一を図っている物まであります。

 したがって、中国産畳表の多くは建て売り住宅・集合住宅・賃貸住宅等の新畳や賃貸住宅の表替えなど中級品以下の低価格の畳に使用されることが多いようです。

一般住宅にも最近では中国産畳表を使用することもあるようですが、着色剤が他の物に付着したり、表皮が脆いため数ヶ月で畳表の表皮がはがれたりと言ったクレームが一部に発生しているようです。 

 畳表の善し悪しは数ヶ月いや数年使用して初めて目に見える形で現れるものなので、自分で使う畳表については、耐久性・美しく焼けていくなど品質について吟味していただきたいものです。

やはりただ畳表というだけでなく本物の自然を感じ取れる高品質な畳表こそ、花鳥風月のなかで生きてきた日本人の住環境にふさわしい物ではないでしょうか。

 

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Q17:藺草を使用していない畳表があるそうですがいったいどの様な物なのですか。

A:藺草を使用していない畳表には大別して化学物質系のものと紙系のものとがあります。

化学物質系のものは語るまでもないのですが、紙系のものもその表面は化学的にコーッテイングされているので引っ掻きキズに弱くキズの所から毛羽立ってきます。

また、その使用感は肌にべとついたり冷たい感触があり藺草を使用した畳表に比べて決して爽快な物とは言えません。

 そのうえ、非藺草系の畳表はカビやダニが発生しないとメーカーでは宣伝していますが、使用している間に畳表の目のなかに有機質の塵・埃が溜まりカビ・ダニの発生の元になります。

また、青味が無くなりにくいことによって畳表の目に詰まってくる塵・埃が黒く浮き上がってきて全体の色合いが汚く不潔に感じられる場合もあります。

非藺草系の畳表が燃えると、有害物質が発生する危険性にも注意したいものです。

 ただ、使用する場所によっては一概に良くない物とは言えないので、使用者が冷静に判断した上で用いることをお勧めします。

 

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Q18:バリアフリー住宅などに使われている薄い畳は、どの様な物なのですか。

A:近年、住宅内部の段差を無くしたバリアフリー住宅が、大手住宅メーカーを中心に発売されています。段差を無くして障害者やお年寄りに優しい住宅は、必要なだけでなくこれから一層取り入れられなければならないと思います。

 現在バリアフリー住宅に使われている畳は、ご質問のように薄い畳を使用することで廊下や洋間との段差を無くしている物が多いようです。しかしながら、薄い畳には、次のような危険性や将来の問題点が考えられます。

 @畳の床に多くがインシュレーションボードの一枚物を使っているので、畳表の張力に耐えられずに反り返ってしまったり、また、インシュレーションボード自体の反り・歪みがそのまま出てしまうおそれがある。だから、畳の合わせ目がずれて、そこで足を取られる危険性がある。

これでは、バリアフリーどころではなくバリアー住宅と言わなければならないかもしれません。

 A厚みがないので、足などで踏ん張ったとき畳がずれ、外れて上にいる人間がひっくり返ってしまう危険性がある。足元に障害物は無いが、気づかない所に危険が潜んでいるだけに注意しなければならない。

 B畳の表を新しく取り替えようとしても、床が薄く、耐久力に劣るため上質な畳表を使用できない。従って、畳の表替えについて使用できる畳表が制約される。

 Cもし、薄い畳の上記の@Aの危険性をなくすために、部屋の座板(畳の下に敷きつめている板・コンクリートパネルなど)に薄い畳を固定したとしても、20年・30年と安定して固定できる金具・接着剤は有りません。たとえ固定出来たとしても、それこそ畳の一つの利点である畳表を取り替えて部屋をリニューアルするといった事が出来ません。

 バリアフリーということは、最初の数日・数ヶ月・数年の間安全に見えると言うことではなく、将来にわたって安全で・危険な障害の無いということのはずです。

そうであるなら、初めに障害が目に付かないからといって、いつまでも安全が保障されている訳でない事を知っていただきたいものです。

隠れた将来の危険性を予見し、本物の健康的で安全な住宅を造りあげたいものです。

 畳が敷物の一種としてその機能を果たすためには、敷居や壁際の木(ヨセと言う)に囲まれた空間をきっちりと埋めて、足で少々踏ん張ったぐらいでは動いたりずれたりしない物でないといけないはずで、そのためにはある程度の厚みと重さが必要です。

ですから、バリアフリー住宅といえども、畳を薄くするのではなく
和室全体の座板を下げて従来どうりの厚みと重さを持った畳を使用して、廊下・敷居・畳を同じ平面にするべきでしょう。

 危険のない、健康的な住宅が消費者に提供されるべきである、という事に対し全面的に賛意を表明する者ですが、ただ耳に心地よく響く言葉を表面的に語るのではいけないと思います。

私たちは、消費者の皆さん自身にいろんな手間を掛けてもらわなければならない面倒な事も多いですが、これからも皆さんに畳・畳表に関する本当のことを提案していきたいと思います。

 

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