畳表の種類のいろいろ
畳表の種類は、畳の大きさによるものは限られますが、天然の植物である原料藺草のさまざまな品質を考慮すると千差万別であると言えます。
○使用する経糸による畳表の種類
畳表は、色々な経糸が使われて製織されます。
一般的な畳表は、 | マニラ麻糸
黄麻麻糸(備後では、この糸だけを使用した畳表を製造していません)綿糸を使ったものがほとんどです。 |
高級な畳表には、 | マニラ麻糸+黄麻麻糸(麻ダブル)
マニラ麻糸+綿糸(麻綿ダブル)と二本の経糸を組み合わせて製織した畳表も有ります。 |
●選別した藺草の長さによる畳表の種類
畳表は、収穫した藺草を何種類もの長さに抜き分けて畳表に織り上げます。それによってさまざまな種類の畳表が出来ます。
一例をあげると | 145p以上の長さの藺草
136pから145p 121pから136p 115pから121p 103pから115p |
などの何種類にも抜き分けた藺草を使って各々に応じて様々な畳表が織り上げられています。
○一枚あたりに使用する藺草の量による畳表の種類
畳表の一枚あたりに使う藺草の量によっても、畳表の種類が分かれます。
同じ水田でとれたほぼ同質の藺草を使った畳表でも、その一枚あたりに使用する藺草の量によって、多く使えばそれなりに品質が上がり、少ししか藺草を使わないならば品質が劣ってきます。
また、畳表の製職機は、畳表を製職するときに一本一本さまざまに違っている(太さ・重量・弾力性・粘りなど)藺草を使うので、完全に同量の藺草を一枚の畳表に織り込むことはなかなか出来ません。
厳密に言えば、同等品質の畳表にもいくらかの重量の差があります。
○使用する藺草の品質による畳表の種類
藺草は、水田で栽培する植物ですから栽培方法・天候・土質などの色々な要因によって様々な品質(太さ・長さ・色合い・強さなど)の藺草があり、また同じ水田で作った藺草でもいろんな品質の藺草が混在しています。
極端に表現すると、原料が均質な工業製品でないのですから、一本一本異なる藺草を織り込んで作られている畳表に一枚として同じ畳表は存在しないとも言えます。
ただ、同じ水田で作った藺草で作った畳表については、ほぼ同じ品質の畳表と言えるだろうといったくらいでしかありません。
一般的には、長くできた藺草を使用した畳表が良い物だと言えますが、たとえ幾ら長い藺草を使った見栄えの良い畳表でも、品質の悪い藺草を使ったものは良い畳表とは言えません。短い藺草でも良質な藺草を使った高品質な畳表があります。
また、青味の強い畳表が良いと思われてもいますが、畳表の見た目の色合いは品質に全く関係のないものです。(畳及び畳表に関するQ&AのQ3を参照)
他に、藺草の品質に関しては、畳及び畳表に関するQ&AのQ10・Q11・Q13・Q16などを参照してください。
畳表を選ぶときには、見た目に捕らわれることなく良質な藺草を使ったうえ、良い仕事で織り上げた畳表を選びたいものです。(備後畳表の特質の項目を参照)
畳表の種類を決める要因は沢山あります。本当に良い畳表を、消費者の皆さんが見分けるのは至難の技かもしれません。
新しく畳を造るとき・畳の表を新しく張り替えるとき、畳表についてきちんと詳しく説明してくれる畳店にご相談ください。
その時には、昔から高品質の評価の高い備後畳表を是非ご使用されることをおすすめします。